愛山の講談私小説シリーズ アル中の種(9)

 

アル中の種

 

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「あたし何だか腹が立ってきました」
「そうだろうね。おれも話しながら頭にきてるんだ。修正できるものだった
ら、昔のおれに手を加えたい。切実にそう思うよ」
「今も同じなんじゃありませんか。お父さんとの関係なんか、とくにそうじ
ゃないんですか」
「そうかもしれない。こうして東京にいると毎日親父のことを考えてる。だ
けど故郷へ帰ると一刻も早く逃げ出したくなってしまう。とにかくその中間
がないんだ。中間が」
「結局講釈師になったきっかけは何だったんですか」
「そんなに怒らないでよ。滅多に話さないことを話しているんだから……」
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